五十を越えたというのに未だにクリスマスというとワクワクする。親父もそうだったのだろうかとふと思う。子供の頃、クリスマスにご馳走を食べたとか、そういう記憶はない。ただケーキは買って貰えた。なぜか、兄貴と僕と一人に一つずつ大きなデコレーションケーキを買ってくれた。昔の事だから当然、日持ちのするバタークリームのケーキだ。クリスマスが終わっても数日間は、そのケーキを食べる事が、学校から帰宅後の僕ら兄弟の大きな楽しみだった。親父とおふくろ、そしておじいちゃんおばあちゃんがケーキを食べている姿は記憶にない。まさか子供に隠れて食べていた訳でもあるまい。ケーキが終わる頃、今度は年末恒例の一家総出の餅つきが待っている。